2011 Fiscal Year Annual Research Report
III族窒化物両極性同時成長プロセスの開発とナノ構造デバイス作製
Project/Area Number |
22760006
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中野 貴之 静岡大学, 工学部, 助教 (00435827)
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Keywords | III族窒化物半導体 / 結晶成長 / 極性制御 / 有機金属気相エピタキシー法 / 両極性同時成長 |
Research Abstract |
III族窒化物半導体はウルツ鉱型結晶構造であるため、c軸方向に非対称で極性が存在する。(0001)面となる+c面と(000-1)面である-c面において化学的安定性や非線形光学定数などが変化している。このような特性を利用することにより、新規光機能デバイスの作製が可能となる。そこで本研究では、任意の領域において+c面と-c面を同時に成長かつ制御を行う選択領域極性制御成長手法の開発を行った。帯電防止膜を塗布した後に、電子線照射することにより感光させてカーボンマスクを形成し、選択領域の基板処理を行った。これまでに行っていたプロセスでは基板処理、マスク形成、結晶成長といった順序にて両極性同時成長を行っていたが、各工程間において基板が大気暴露されるために再現性が乏しい状況であった。今回、マスク形成後に基板処理および結晶成長を同時に行うプロセスを行い、基板処理に重要となるH2クリーニング条件、基板窒化条件、低温バッファー層形成条件を最適化し両極性同時成長の一括形成プロセスを構築することに成功した。積層方向における極性反転プロセスにおいてはMgを結晶成長表面に過剰に吸着させることによって+c面を-c面に極性反転させることを実現しており、極性反転に起因する反応はMg原子の表面偏析であることを明らかにした。Mg供給プロセスの最適化により表面偏析層を形成することによって原子層レベルでの極性反転結晶成長の実現に成功した。これらの結果は、GaN極性制御において非常に効果的な手法であり極性を利用したデバイスへの応用が広がったと考えられる。
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