2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNAネットワークを利用したナノスケールトンネル伝導デバイス
Project/Area Number |
22760007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平野 義明 大阪大学, 理学研究科, 特任研究員 (10434896)
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Keywords | タンパク質 / DNA / ネットワーク構造 / 傾斜蒸着法 / トンネル伝導 / 閾値を持つ電流-電圧特性 / クーロンブロッケードモデル / 確率共鳴デバイス |
Research Abstract |
我々は、シトクロムc(Cytc)を用いて、ネットワーク構造を有するデバイスの創製を目指して研究を進めている。Cytoは孤立した酵化・還元中心を持つ金属錯体であり、Fe原子の酸化・還元に基づく電気伝導が期待できる。今回、Cytc/λ-DNAネットワーク構造体を利用してデバイスを作製し、10Kおよび300Kでの確率共鳴による信号検出について報告する。 Cytc/λ-DNA複合体をシリコン基板に固定化すると、ネットワーク構造が存在することをAFM観察により確認した。尚、ネットワークの高さは、2nm程度であった。この構造体に電極間が数十nmの電極を取り付けて、電気特性の温度依存性を調べたところ、90K以下で、閾値電圧(V_<th>)を有する電流-電圧(I-V)特性が観測された。この結果は、低次元クーロンブロッケード(CB)モデルで説明可能であることが分かった。したがって、80K以下では、CytoがCB素子として作用していることが示唆された。 この二端子デバイスを用いて、確率共鳴による信号検出を試みた。この実験では、電圧強度が一定の方形波にホワイトノイズを加算器で足し合わせて信号をデバイスに入力し、I/Vコンバーターとオシロスコープを通して出力信号を得た。10Kで観測した結果において、入力信号にノイズを加えない場合には、出力慣号は得られなか?たが、ノイズを加えることによってV_<th>を超えると、方形波にノイズが加算された信号が得られることがはっきりと分かった。 そして、ノイズ強度に対する相関係数(C)を算出した。C値は、入力リファレンス信号と出力信号の相関であり、値が大きいほど、入出力の信号波形の類似性が高いことを意味する。10Kでは、C値は、ノイズ強度に伴って大きくなり、その後、飽和傾向になる。一方、300Kでは、ノイズ強度に依存せずに一定の高い値を示した。
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