2010 Fiscal Year Annual Research Report
フレキシブル高分子上への機能性酸化物エピタキシャル薄膜作製
Project/Area Number |
22760013
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
西川 博昭 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (50309267)
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Keywords | フレキシブルデバイス / 機能性酸化物 / エピタキシャル薄膜 / 圧電体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、遷移金属酸化物のエピタキシャル薄膜を、軽量で柔軟な高分子製フレキシブル基板上に形成し、機能調和酸化物エピタキシャル・フレキシブルデバイス創製の基礎を確立することである。酸で容易に溶解し、かつ多様な機能性遷移金属酸化物をエピタキシャル成長させる基板として有用なMgO(100)単結晶上に、圧電体Pb(Zr_<0.52>Ti_<0.48>)O_3(PZT)などの機能性酸化物をパルスレーザ堆積(PLD)法によってエピタキシャル成長させたのち、表面を高分子でコーティングしてからMgO基板をリン酸でエッチングすることで、目的とする「フレキシブル・機能性酸化物エピタキシャル薄膜」を得ることを提案した。 平成22年度は、1.MgO(100)単結晶基板上にPZTをエピタキシャル成長させるための成膜条件を確立すること、2.エピタキシャル成長した機能性酸化物薄膜に良好な密着性を示す高分子材料を探索すること、の2点を行った。1.については、MgO(100)とPZTの格子不整合が大きい(約4.5%)ことが問題となり、良好なエピタキシャル成長が困難であったが、基板温度575℃、O_2分圧5×10^<-2>Pa、レーザフルエンス3J/cm^2、成膜速度0.1nm/レーザパルス、の最適条件にて(001)軸配向したエピタキシャルPZT薄膜を得ることに成功した。また、2.についてはポリイミドおよび厚膜レジスト材SU-8を用いることで、PZT薄膜表面に比較的良好な接着性を示すことがわかった。これにより目的とする「フレキシブル・機能性酸化物エピタキシャル薄膜」を得るための基本技術を確立することができ、次年度には通常では印加することが不可能な巨大な歪みをPZTなどの機能性酸化物薄膜に印加し、巨大歪みに対する電子物性の変化を詳細に調べるための準備を整えることができた。
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