2011 Fiscal Year Annual Research Report
高圧熱処理技術によるアパタイト薄膜の作製と組成制御による新機能探索
Project/Area Number |
22760014
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中根 茂行 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (40354302)
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Keywords | 超臨界 / 成膜 / アパタイト |
Research Abstract |
本研究では、超臨界流体を用いた成膜技術を開発し、その技術を用いて生体材料の分野で注目されているハイドロキシアパタイト(HAp)やその関連物質の薄膜化を目指している。また、HApが、非常に多種多様なイオン置換が可能な物質である点にも注目して、試料作製技術を確立した後には、この物質の新機能性材料としての可能性を検討したいと考えている。 上記の目標に対し、昨年度の研究で得られた知見は以下の通りである。 (1)一昨年度に開発した超臨界二酸化炭素を反応場とする試料作製装置を改良し、ガラス基板上に成膜したTiO2をの高品位化に取り組み、一昨年度に比べて透明度の高い薄膜試料の作製に成功した。 (2)超臨界二酸化炭素中におけるHApの作製条件を探索した結果、昨年度よりも低温・短時間で粉体が作製できることを見出した。 (3)超臨界装置と入射マイクロ波の性質を、従来技術とは異なる方法にすることで、試料作製部にマイクロ波を導入することに成功した。 (4)超臨界中のHAp作製では、水熱合成に比べて元素置換試料の作製が難しいことが判った。 超臨界二酸化炭素を用いた酸化物試料の作製、特に薄膜試料の作製は、世界的に見ても実施例が少ない。したがって、上記の結果は、国内でも希少な超臨界成膜装置の開発過程である。特に(3)は、超臨界二酸化炭素を反応場とする成膜装置としては、おそらく世界初の試み・成功であり、研究を継続して成膜装置として確実なものにしたい。 (1)については、更なる高品位化を図って、半導体デバイスとしての展開を狙いたい。また、このTiO2膜を疑似体液中でアパタイト化するのが、本研究の狙いではあったが、(2)の成果を踏まえてアパタイトの直接的な成膜化を図り、生体材料分野に新たなコーティング技術にしたいと考えている。 以上、予想より時間はかかってしまったが、あと少しという段階には来ていると感じているので、研究期間終了後も本テーマは継続し、成果をまとめて発表したいと考え、引き続き研究に取り組んでいる。
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