2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760015
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
林 将光 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料センター, 主任研究員 (70517854)
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Keywords | スピントロニクス / 磁性材料 / 磁化ダイナミクス / 熱流 |
Research Abstract |
今後の電子産業の更なる発展には、大容量で高性能メモリーの開発が必要不可欠であり、磁壁移動メモリーは用途に合わせて容量・性能を自由に設計できる次世代メモリーとして期待されている。本研究では磁壁移動メモリーの課題である、磁壁を移動させるのに必要な駆動電流密度の低減を目指して、新たな磁壁移動機構の開発を行う。これまで明らかにされていない、ナノスケール細線中の磁壁の運動と温度勾配の関係に着目する。細線に温度勾配を印加することによって生じるスピン流を利用して、駆動電流密度の低減を目指す。温度勾配の大きさと向きが駆動電流密度に及ぼす影響を調べ、生成されたスピン流との関係を明らかにする。 本年度は、まず局所熱エネルギー源の校正を行った。ジュール加熱による効率的な熱源の生成のため、コイル状の金電極を基板上に配置し、加熱源を作製した。また、発生した熱がどのように周囲に伝播するかを評価するため、温度センサー用の金電極を同様に基板上に配置した。リアルタイムで抵抗を測定し、熱源からの距離と温度の空間的・時間的関係を求めた。 次に、電流駆動による磁壁の位置制御に対する理解が最も進んでいるNiFe合金などを用いて、温度勾配の影響を明らかにする試みを行った。NiFe合金の移動速度の磁場依存性を測定し、温度勾配の有無による移動速度の変化を測定した。しかしながら十分な大きさの温度勾配が得られず、温度勾配の存在による移動速度に大きな変化は見られなかった。次年度には、より大きな温度勾配を印加し、磁壁のダイナミクスに及ぼす影響を評価する。
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