2010 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能の軟X線ビデオ観察を実現する実用超高倍率顕微対物鏡の開発
Project/Area Number |
22760020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 光紀 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40375168)
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Keywords | 軟X線 / 顕微鏡 / 反射光学系 / 多層膜 / 収差論 |
Research Abstract |
波長20nmから2nm程度の軟X線は可視光に比べ短波長であり、回折限界では原理的に数10nmの空間分解能が得られる。また、波長2.2-4.4nmの水の窓領域では厚さ数μmの生体試料を染色・脱水処理せずに生きたままで観察できる。このため、軟X線顕微鏡は生体・多元物質や磁性材料等の試料でナノスケール構の動的変化をビデオ観察できる究極の光学顕微鏡として注目されている。本研究では、申請者が独自に見出した非球面光学系をさらに発展させ、温度変化等の外乱下でも安定して回折限界分解能(30nm)で観察できる低収差かつ高結像倍率(1000x)をもつ顕微対物鏡を開発する。22年度は、2面の回転対称非球面からなる対物鏡部の後段に同じく2面非球面鏡で構成した望遠鏡部を挿入した、2結像による4面鏡で生じる収差を3次収差論により解析的に導出した。具体的には、既に導出済みの2面球面鏡の収差特性式を対鏡部および望遠鏡部に各々適用し、瞳遮光量等の実用的な設計パラメータにより整理することで、光学系体で生じる3次収差の解析的表現を求めた。このとき、非球面鏡にチルトおよびシフト偏心を仮定した場合の偏心収差も1次の範囲で導出した。次に、得られたられた収差特性の解析表現を用いて、高倍率と広視野を両立した新規設計解を大域的に探索した。その結果、開口数0.25、結像倍率m=1028を物体-像間距離t=1mで実現する新規解を見出した。光線追跡法による数値計算の結果、新規解では直径約130μmの視野内で波面収差が1nm rms以下となり、波長13nmでは30nmの空間分解能を得られることが分かった。
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