2011 Fiscal Year Annual Research Report
固・液電極界面における電気化学反応機構解明の基礎研究
Project/Area Number |
22760023
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
米村 雅雄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (60400602)
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Keywords | 中性子 / 反射率 |
Research Abstract |
エレクトロケミカルデバイスでは、電極と電解質のような異なる物質で発生する界面を介して物質が移動することになる。その界面での現象は、理論的には研究されているが直接観測した研究は少ない。本研究では、リチウム二次電池でボトルネックとなっているヘテロ界面を想定して、界面での物質移動現象を解明することを目的にしている。その手法として、界面の構造情報が得られる反射率測定技術を採用した。その光源として軽元素の構造情報が得られ、物質透過性が高く、その場(in situ)測定に適した中性子線を利用することで、動作中のLiイオンが関係する現象を観測できると考えられる。本研究は、その基礎研究として測定セル開発とその実証実験を行うことである。 本年度はJ-PARCおよびSNS(米国)において、昨年度試作した測定セルを用いた実証実験を行った。SrTiO3(STO)基板上にLi4Ti5O12(LTO)のエピタキシャル膜を製膜した。さらに表面にはLi3PO4(LPO)でコートした。この膜を正極とし、Li金属を負極にしたモデル電極を制作した。電解液にはエチレンカーボネート(EC)とポリエチレンカーボネート(pc)を1:1に混合し、電解質としてLiClO4を1mol/lを溶かした。この測定セルを利用して、正極電解液界面をq=0.07~0.15Å-1で反射率測定を行った。その結果、電気化学反応過程に伴う構造変化が得られた。LTO、LPOの膜厚および密度を見積もりことができ、現在、X線反射率測定も実施し、その変化と対応させた解析を実施ている。この結果から、このセルを用いることで、界面の変化が観測できることを実証できた。今後、様々な物質を測定し、構造変化と物質移動の関係を明らかにできることを期待できる。
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