2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小倉 正平 東京大学, 生産技術研究所, 技術職員 (10396905)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 表面拡散 / 金 |
Research Abstract |
本研究では走査トンネル顕微鏡を用いた原子追跡法により金属表面における単原子の拡散頻度を直接測定し,拡散における吸着子間相互作用を明らかにすることを目的としている.本年度は原子追跡STMの改良と,Au原子の拡散頻度のAu島からの距離依存性を測定するために必要なAu島の密度,サイズの制御法の確立を行った. 原子追跡法は走査トンネル顕微鏡の探針を表面吸着原子の真上で回転させ,原子が拡散した際のトンネル電流変化の位相を検出し,探針が常に注目している原子の真上にくるようにフィードバックをかけ,探針の位置を時間に対して記録することで原子の拡散頻度を求める手法である.これまでに開発した原子追跡走査トンネル顕微鏡にはトンネル電流に探針の回転周波数と同じ周波数のノイズがのる問題があったために,2チャンネルの波形発生器を追加してノイズと逆位相の波形を発生させ,それらを信号に加えることでノイズをキャンセルする回路を作成し動作を確認した. またIr(111)上に蒸着時の基板温度と蒸着速度を変えてAuを蒸着し,成長するAu島の密度とサイズを走査トンネル顕微鏡により調べた.毎秒10^<-3>層の蒸着速度で基板温度を80Kから300Kに変化させると島の密度は4×10^<16>m^<-2>から1×10^<13>m^<-2>に減少し,島のサイズは3.5nmから500nmと大きくなることがわかった.一方,基板温度300Kで蒸着速度を2倍にすると島の密度が約2倍になることがわかった.島のサイズ分布から頻度因子の解析に必要な臨界島サイズの解析を行い,臨界島サイズが80~160Kで1,160K以上で2となることを明らかにした.
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