2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浜田 雅之 東京大学, 物性研究所, 技術専門職員 (00396920)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / スピン流 / 原子間力顕微鏡 / エネルギー散逸測定 |
Research Abstract |
スピントロニクスでは、スピン流の生成・検出技術の開発が極めて重要な課題である。近年の微細加工技術の発達によって、面内スピンバルブ構造の作成が実現されるようになり、実際にスピン流検出の報告がなされている。本研究では、走査プローブ顕微鏡(SPM)の探針を面内スピンバルブ構造における一電極とすることにより、スピン偏極トンネル電流を局所的に検出して、スピン流の空間分布を2次元的にマッピングすることを最終目標として、それに必要となる基礎技術の開発を行った。 スピン流の情報をトンネル電流以外の方法でも検出できるように、原子間力顕微鏡(AFM)測定時において、励振させている力センサーに働くヒステリシスを有する力(非保存的相互作用)による励振エネルギーの散逸を測定する機能を、上記SPMに導入した。周波数変調型(FM)-AFMでは、共振振動数変化による力測定と同時に、励振振幅の変化からエネルギー散逸量を測定することができるので、トポグラフとの比較から表面局所構造との関連付けが可能である。静電気力・磁気力などに起因したエネルギー散逸測定により、帯電・誘電緩和・磁区構造の変化に関する情報を局所的に評価することも可能である。我々は、自然酸化膜に覆われたSi基板をテスト試料として、大気中と低真空中で測定したところ、エネルギー散逸像には両者の有益な差は見られなかったが、エネルギー散逸の探針-試料距離依存性においては、低真空ではヒステリシスに伴うエネルギー散逸と考えられるステップ関数的な振舞を明白に観察できることを見出した。
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Research Products
(1 results)