2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浜田 雅之 東京大学, 物性研究所, 技術専門職員 (00396920)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / スピン流 / 走査トンネルポテンショメトロリー |
Research Abstract |
スピントロニクスでは、スピン流の生成・検出技術の開発が極めて重要な課題である。近年の微細加工技術の発達によって、面内スピンバルブ構造の作成が実現されるようになり、実際にスピン流検出の報告がなされている。本研究では、走査プローブ顕微鏡(SPM)の探針を面内スピンバルブ構造における一電極とすることにより、スピン偏極トンネル電流を局所的に検出して、スピン流の空間分布を2次元的にマッピングすることを最終目標として、それに必要となる基礎技術の開発を行った。 スピン流検出のためには、スピン流が作り出す極めて微弱なスピン分圧を検出する必要がある。そこで、我々は、既に立ち上げた水晶振動子を用いたSPMに、新たに走査トンネルポテンショメトリー(STP)と呼ばれる機能を導入した。それは、試料表面に平行に電流が流れている領域の電位分布と表面像を、走査トンネル顕微鏡を用いて検出したトンネル電流から描き出す手法で、高い空間分解能とμVレベルの極めて高感度な電位分解能を有している。検出したスピン偏極トンネル電流を、このSTPで処理することにより、スピン流を高感度に測定できることが期待される。また、測定する試料が、非金属的な電圧・電流特性を持つ場合でも、測定を行えるように、通常のSTPに独自の改良を施した。このようにすることで、面内スピンバルブ構造の予期せぬ電圧電流特性があっても対応できると期待される。この装置を用いて、金薄膜を試料として測定したところ、7~8μVのノイズレベルで電位分布像を取得することに成功した。
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