2011 Fiscal Year Annual Research Report
表面近藤格子系における磁性分子の磁気相およびスピン状態制御
Project/Area Number |
22760026
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚原 規志 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (80535378)
|
Keywords | 表面・界面物性 / 磁性 / 走査トンネル顕微鏡 / (4)近藤格子 |
Research Abstract |
非磁性金属表面に吸着した磁性分子が近藤効果を示す系において、吸着分子間に働く相互作用や、吸着超構造形成に伴う磁気相の変化に注目する。バルクにおいて、近藤不純物が増えた系ではRKKY相互作用と近藤効果の拮抗・周期系における磁気秩序・重い電子系の量子相転移など興味深い現象が多い。表面吸着系でも近藤効果が現れることから、同様の現象が現れることが期待される。そこで、表面吸着系に対し原子分子操作によりRKKY相互作用の制御や低次元近藤格子系の形成を行い、表面での磁気相や分子スピン状態の観測・制御を実現することを目的とする。 実験計画としては、以下のような手順で進めていく。 (a)自己組織的に周期格子構造を形成し、かつ近藤共鳴を示す吸着系の探索。 (b)STM探針による分子操作の方法を確立。 (c)測定、分子操作による近藤共鳴の制御。 まず(a)に関しては、Au(111)表面上の鉄フタロシアニン(FePc)分子がこの条件を満たす吸着系であり、この系を中心に研究を進める。次に(b)において、STMの探針を用いて二次元の近藤格子の大きさや形を自在に操作する手法を確立する。これによって、吸着分子間のRKKY相互作用の影響を意図的に操作することが可能となる。そして最後に(c)の測定では、系が重い電子系か磁気秩序系かを判別し、さらに分子操作によって近藤格子系の磁気的性質がどのように変化していくか、ということに注目して実験をおこなっていく。
|
Research Products
(4 results)