2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760027
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
遠藤 理 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30343156)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 有機薄膜 / 軟X線吸収分光 / π電子系 / 自己組織化 / グラフェン |
Research Abstract |
本年度は深さ分解炭素K吸収端X線吸収微細構造分光(C K-NEXAFS)測定の解析法を発展させ、白金(111)面に形成した単層グラフェン上の直鎖アルカン単分子層のC K-NEXAFSスペクトルをグラフェン層とアルカン層に分離し、結果を差スペクトルと比較することにより測定および解析法の妥当性を検証した。また、同手法を金(111)面に形成した4-メチルベンゼンチオール(4-MBT)および4-エチルベンゼンチオール(4-EBT)自己組織化単分子層に適用し、分子の上下でスペクトルの分離が可能なことを示した。分離スペクトルでは生スペクトル中識別が困難な4-EBTのエチル基のσ*CCバンドが、特に斜入射で顕著に観測され、エチル基が面直配向であることが分かった。このことは、深さ分解CK-NEXAFS法が通常の偏光依存を利用したベンゼン環の配向角決定に加え、分子の特定部位の配向決定にも有力な手法であることを示している。また、基板との相互作用が少ないπ共役系の実現を目指し、金(111)表面における直鎖アルカンの脱水素反応の研究を行った。炭素数36の直鎖アルカンが長軸を表面に平行にして吸着した自己組織化単分子層を真空中で500 K以上に加熱すると、面直方向を観測する斜入射のC K-NEXAFSスペクトル284 ~286 eVの範囲にπ*軌道への遷移が数本顕著に現れた。一方、面内方向を観測する直入射スペクトルではσ*CC軌道への遷移が292 eVから310 eV付近に大きな吸収として観測された。これらは炭素の内殻エネルギーが内部と異なるエッジ状態を多くもつ芳香環が基板に平行に成長していることに対応していると考えられる。走査トンネル顕微鏡観察により、生成物は幅約1.5nmの枝分かれ構造であることが分かった。このことから、脱水素反応による生成物はグラフェンナノリボン様の重合体であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)