2011 Fiscal Year Annual Research Report
チタン系酸化物を用いたハイブリッド型太陽電池・熱電変換素子の作製と物性評価
Project/Area Number |
22760030
|
Research Institution | Asahikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
篁 耕司 旭川工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (60369907)
|
Keywords | 結晶成長 / 太陽電池 / 熱電材料 / 半導体物性 / 薄膜・界面物性 |
Research Abstract |
本研究は、色素増感太陽電池の光起電力に加え、温度差による熱起電力も組み込み、素子全体としてのエネルギー変換効率をあげた材料を探索するものである。チタン系酸化物を基本材料として、色素増感太陽電池と熱電素子を組み合わせたハイブリッド素子の作製及び物性評価を目的とする。平成23年度は、主にスパッタリング法によるTiO2、SrTiO3薄膜の結晶成長と酸化還元アニール後の電気特性評価に関して以下のような結果を得ることができた。 RFスパッタリング法を用い、酸素ガス無供給下にてArガスのみで室温でSrTiO3:Nbを成膜した。ターゲットのNb濃度を変えて作製した薄膜を水素ヘリウム混合ガス中600℃でアニールした。X線回折の結果から、アニールした薄膜は一部アモルファスから多結晶SrTiO3が結晶成長していることがわかった。また、二層膜であるTiO2:Nb/SrTiO3:Nbも同様に成膜し、単層膜と同じ条件でアニールを行うと、SrTiO3:Nbからのピークのみが観測された。この時アニールの前後で試料の色が黒から透明に変化する現象が見られた。オージェ電子分光からは、アニール後にSrがTio2に拡散している状況は見られなかった。 以上の結果からターゲットのNb濃度を大きくすると結晶化しづらいこと、TiO2でキャップしてもSrTiO3は膜中の酸素を利用して結晶化することがわかった。これはリアクティブスパッタリング法を用いることなく、SrTiO3結晶がより安価に成長できる点で重要である。 NbをドープしたこれらのSrTiO3膜において、これまでにキャリア活性は確認されていないので、本研究の目的の熱電材料として使うのは難しい。しかし、アナターゼ型TiO2を作製する手法を得ているので、光照射下でのTio2/SrTio3:Nb膜のゼーベック効果測定と合わせて、ハイブリッド素子の物性評価に適用する準備ができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スパッタリング法によるTiO2/SrTiO3膜の成長法において、酸素無供給下でのNbドープによるキャリア活性制御が難しいことがわかり、SrTiO3薄膜を熱電材料に用いることが困難になったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定していたスパッタリング膜を用いることは難しいため、市販の単結晶SrTiO3:Nb膜上にスパッタ法でTiO2を成長させた試料で、熱電効率を評価する。また、色素増感太陽電池の電極部分にも市販の単結晶SrTiO3膜を用い、ナノサイズTiO2を作製することにより、ハイブリッド素子を試作する。
|
Research Products
(2 results)