2011 Fiscal Year Annual Research Report
光書換え可能な液晶ナノ構造を用いた近接場光シグナル輸送制御法の開発
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22760035
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大平 泰生 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10361891)
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Keywords | 近接場光学 / 分子マニピュレーション |
Research Abstract |
本研究は,液晶複合ナノ構造を用いた近接場光の励起輸送制御法の開発を目的としており,昨年度までに,液晶とアゾベンゼン分子複合構造における光異性化反応によるナノ構造化,およびナノ構造に起因する光近接場励起の基本特性について調べた。本年度では,さらに,所望の形状をもつ液晶ナノ構造を得るために,引き続き(1)液晶分子の微小ドロップレットの発生法と特にその配列制御技術について開発を進めた。また,機能発現へ応用していくために,(2)液晶ナノ構造や複数種のナノ物質との複合ナノ構造における近接場光励起の検証へと研究を展開させた。まず,液晶ナノ構造を光場と外部電場で制御するための,微小ナノ電極の加工法について検討した。ここでは特に,光反応性分子薄膜を用いた透明導電性薄膜および金属薄膜のナノリソグラフィー技術を開発した。分子薄膜へ近接場光加工により微細な構造を作成し,これをエッチングマスクとして用いることで,様々な形状を得るエッチング条件について詳細に調べた。またこれに液晶粒子を付加する,エレクトロスプレーシステムについて前年度に引き続き改良を行い,粒径と配列状態の最適化を進めた。さらに,これにより得られる近接場光を励起・輸送過程を高感度検出するために,液晶薄膜媒質の局所形状と光学特性を計測する,金属短針エバネッセント波干渉顕微鏡を開発した。全反射照明を用いた光学系により界面近傍の薄膜の光学特性をモニターし,これに先鋭化した金属短針を近接させることで,局所的な構造変化と配向特性の評価を行った。ここでは短針先端の電場印可に応じた,薄膜の光学物性変化を実時間計測することに成功した。本研究では,さらに,液晶媒質内に金属ナノ構造を光学的に生成する手法について考案し,局在プラズモン共鳴と変調効果についても検証を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液晶複合ナノ構造システムにおける個々の要素技術について,基本的な実験検討が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに独自に開発した手法の改良を重ね,得られた知見をより詳しく掘り下げ,システムとしての評価を進めていくとともに,近接場光領域の光スイッチングなどの基本的なナノフォトニック機能を探索する。
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Research Products
(4 results)