2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子識別に向けたチャープパルスを用いるポンプーダンプー蛍光スペクトル法の開拓
Project/Area Number |
22760040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市田 秀樹 大阪大学, 先端科学イノベーションセンター, 助教 (50379129)
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Keywords | 超高速分光 / チャープ制御 / 蛍光スペクトル / ポンプ-ダンプ |
Research Abstract |
本研究の目的は、チャープ制御された超高速パルスレーザー光源を用いて,溶液中の角素分子を対象に,光励起後の励起エネルギーをコヒーレント的に強く脱励起することによる励起エネルギーの制御及びそれによる蛍光スペクトルの超高速変化を観測することで,分子固有の蛍光スペクトル情報から,特定分子種の識別が必要なバイオイメージングへの新規な超高速分光手法への展開の可能性を探索すものである.本研究では,フランクコンドン状態における振電励起状態から,高振動励起電子基底状態への遷移に対応する蛍光成分のみをコヒーレント的に強く脱励起し,蛍光スペクトルに強い変調を与えることを目標とする. 平成22年度は,溶液中の色素分子を対象に,ポンプ-ダンプ-蛍光スペクトルの測定を行い,ダンプ光のエネルギーおよびポンプ光とダンプ光間の遅延時間依存性の詳細を測定し,励起エネルギーダイナミクスとダンプ光の関係を明らかにすること,および,測定結果を解析することにより電子励起状態の高振動準位からの蛍光成分検出することを行った.その結果,ダンプ光のエネルギーをかえることによって,大きく脱励起される割合(ダンプ効率)が変化することが明らかとなった.特に,ポンプ光入射直後の電子励そのダンプ効率のダンプエネルギー依存性を示すダンプスペクトルの形状は,定常状態の蛍光スペクトルから予想されるスペクトル形状とは大きく異塗り,電子励起状態の高振動準位からの蛍光成分のスペクトル形状と類似している.これは,電子励起状態の高振動準位からの蛍光成分をつよく脱励起したものであると現在のところ考えている. 次年度に関しては,現在構築中のノンコリニア型の光パラメトリック増幅器と光学遅延スキャナを用い及CCD測定システムを上記測定システムに持ち込むことを計画しており,本研究の目的である,チャープ制御された超高速パルスレーザー光源を用いた,溶液中の色素分子における光励起後の励起エネルギーをコヒーレント的に強く脱励起することを目指す.
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Research Products
(1 results)