2010 Fiscal Year Annual Research Report
インジウムヒ素量子ドット共振器中のスピンダイナミクスを利用した光応答制御
Project/Area Number |
22760043
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森田 健 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (30448344)
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Keywords | 量子ドット / 光物性 / 光スイッチ / 半導体物性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、半導体多層膜共振器構造に埋め込んだInAs量子ドット中の電子スピンを利用した超高速の面型スピン全光超高速スイッチングデバイスを提案し、その基本測定評価を行うことである。特に、光通信波長帯において電子スピン励起による偏光回転を用いた光スイッチでも、低いパワーで動作できることを実証し、さらに、スピンの超高速生成・消滅によって応答時間を自由に制御できることを実証することである。平成22年度は、パターン効果を抑制するために、1.5μm帯に吸収帯を有するEr添加InAs量子ドットと、そのEr添加InAs量子ドットを有する半導体多層膜共振器構造を作製した。1.5μm帯に吸収帯を持つために、Er添加InAs量子ドットは、歪緩和InGaAsバリア層のIn組成を高くするなど、適切な結晶成長条件にて試料を作製した。1.5μmの光パルスでポンププローブ測定をEr添加InAs量子ドットの試料で行ったところ、量子ドットの光非線形を示す透過率変化の大きさが、従来の試料よりも8倍程度大きくなり、キャリア緩和時間は3ピコ秒で、超高速な応答特性も示していた。Er添加InAs量子ドットを有する半導体多層膜共振器構造は、その光反射スペクトルの評価から、1.5μm帯に明瞭な共振器モードを持つ良質な共振器構造であることが分かった。また、1.5μm帯波長帯の超高速光スイッチング特性を時間分解透過率変化測定によって評価した。Er添加した量子ドット共振器の応答速度は4psであり、Er添加していない量子ドット共振器の応答速度(12ps)に比べて速い結果が得られた。平成23年度は、Er添加InAs量子ドットに円偏光パルスを照射し、量子ドット中に電子スピンを揃えることが可能であることを時間分解測定によって示す。加えて、InAs量子ドットを有する半導体多層膜共振器も、円偏光パルス照射で共振器層内に電子スピンを励起でき、偏光回転を利用した光スイッチとして低パワーで動作することを実証する。
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