2010 Fiscal Year Annual Research Report
アイドラー光チャープパルス圧縮による高強度数サイクル光パルスの発生
Project/Area Number |
22760048
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
赤羽 温 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (00370338)
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Keywords | レーザー / チャープパルス増幅 |
Research Abstract |
光パラメトリック増幅(OPA)で発生するアイドラー光位相へのポンプ光の位相の影響を調査するため、SIMPLE位相計測装置を構築した。SIMPLE位相計測装置はOPA増幅段でのチャープしたピコ秒パルス幅のシグナル光、アイドラー光の位相をパルス圧縮せずに直接計測し、各次数の波長分散を評価することができる。また今回帯域が2nm以下と狭帯域のOPAポンプ光の位相のSIMPLE計測を可能とするために波長分解能0.04nmの高分解能分光器を自作し、ポンプ光位相を計測した。 前述の位相計測装置の構築後、OPA相互作用光の位相計測を行った。モードロック発振器から出力された中心波長1020nm、パルス幅80fsのフェムト秒パルスを長さ5cmのSF11ガラスブロックの2回透過によりパルス伸張し、低温冷却Yb:YLF CPAレーザーの2倍波をポンプ光として長さ7mmのBBO結晶中でOPAした。この時のシグナル光、発生アイドラー光の位相を計測した。その結果、2次分散に関してはシグナル光の1.18x10^4fs^2に対してアイドラー光で-1.19x10^4fs^2と「偶数次分散が符合反転」の理論通りの結果が観測されたものの、3次分散では2.96x10^4fs^3に対して-1.71x10^4fs^3、4次分散では2.88x10^5fs^4に対して5.10x10^5fs^3と理論と異なる結果が得られた。この時のポンプ光位相を計測すると、ポンプ光の3次及び4次分散に、それぞれ負及び正の大きな残留分散が観測された。これら観測結果から、発生アイドラー光の高次分散はポンプ光の大きな残留高次分散の影響で変化していることが明らかになった。このことはポンプ光の滴切な位相変調により発生アイドラー光の高次分散補償が可能であることを実験的に示唆しており、本研究の遂行による数サイクルパルス発生への過程で非常に価値のある結果が得られた。
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Research Products
(4 results)