2011 Fiscal Year Annual Research Report
電磁スピニングシステムによる超高粘性領域の迅速・広帯域粘弾性スペクトル測定
Project/Area Number |
22760052
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
細田 真妃子 東京電機大学, 理工学部, 講師 (40366406)
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Keywords | レオロジー計測 / 液体の粘性 / 粘性測定 / ソフトマテリアル |
Research Abstract |
本年度はEMSシステムを用いたアルコール水溶液粘性の精密計測について精細に行った。あわせて、今回のシステムにより定量評価が可能となった回転系におけるNavie-Stokes方程式の非線形項の影響についても考察を行った。従来、粘性計測が液体の輸送や撹拌といった化学工学プロセスの設計・運用に用いられていた時代には、低粘性計測に対する需要はそれほど大きくはなかった。これは、これら水などの低粘性液体のマクロプロセスでは、Navie-Stokes方程式を構成するいくつかの項のうち慣性および圧力勾配の項が優越し、粘性項の寄与がほぼ無視できるという事情による。このため低粘性測定は専ら希薄溶液の反応モニタリングや物性研究等に用いられていた。 これに対し最近における微小液体プロセスの進歩は急速であり、このため最近では低粘性域における精密測定法への需要が大きくなっている。 これに対応すべく、申請者を含む研究グループは自身が開発したEMS方式に改良を加え、浮上型のディスク回転子を採用することにより機械摩擦の問題を解決した。 ディスク型EMSではシャーレに入れた試料表面に浮力によって浮かべた金属製の回転子に、鉛直方向の成分を持つ磁場を印加してこれを回転させる。このとき動磁場により生成された誘導電流と磁場とのローレンツ相互作用により、回転子には自賠追随する方向にトルクが印加される。このトルクによる回転の速さを計測することで、試料の粘性を精度よく計測することができる。 回転型粘度計では試料がニュートン液体の場合、トルクに比例した回転数が実現されるとするが、Navie-Stokes方程式の非線形項の効果によりこれは厳密には成り立たない。実験値では粘性の小さい試料において直線から外れ、非線形の効果が表れていることが確認できる。 申請者を含む研究グループはまた、流体数値シミュレータを用いて回転円板の系における印加トルク及び回転数の関係を求めた。その結果は実験結果をよく再現することを確認した。
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