2010 Fiscal Year Annual Research Report
論理素子を構成するトランジスタにおけるシングルイベント過渡電圧パルスの研究
Project/Area Number |
22760055
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
牧野 高紘 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (80549668)
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Keywords | SETパルス / 論理LSI / イオン照射 / SOI / ソフトエラー |
Research Abstract |
近年,論理LSI内の論理素子に放射線が入射する事で発生するSETパルスによるソフトエラーが問題となっているがそのSETパルスの伝搬機構についてよくわかっていない点が多い.そのため,本研究では,複数個のトランジスタの組み合わせで構成されている論理素子に放射線が入射する事で発生するSETパルスが,その論理素子を構成するどのトランジスタに放射線が入射した事によって引き起こされたか内訳を明らかにする事を目的としている.これを明らかにする事によって,より効率的な論理素子ソフトエラー対策への指針を示すことが可能となる.本年度は,論理素子の中でもNMOSFET, PMOSFET1個ずつ組み合わせた最も簡単な構造を持つNOT素子で発生するSETパルス波形の詳細な推定を行った.具体的には,単体のNMOSFETに放射線を照射し,発生する過渡電流波形を高速オシロスコープで取得しその波形からSETパルス波形をテーブル参照法で推定した.その結果,過去にSETパルス幅測定用回路で測定した最大SETパルス幅を持つSETパルスは,NMOSFETでの過渡応答起因である事が実験的に明らかになった. 本結果から,上記の推定手法の妥当性が実験的に示された.これは,他の論理素子におけるSETパルス波形推定にも本推定手法が応用可能である事を示唆している.2010年度はSETパルス測定用回路を用い,観測されたSETパルスの幅分布から,各MOSFET起因のSETパルスを弁別する予定であった.しかし,本推定手法を用いることによって,直接各MOSFET起因の詳細なSETパルス波形を知る事ができるようになり,当初予定に対して先行的に研究を進める事ができた.
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