2010 Fiscal Year Annual Research Report
起爆感度制御を目指したペンスリット爆薬の衝撃起爆機構の解明と起爆感度因子の特定
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22760057
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
若林 邦彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 研究員 (00371089)
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Keywords | 火薬学 / 衝撃起爆機構 / 起爆感度 / レーザー誘起衝撃波 / レーザー速度干渉計 / ラマン分光法 / 分子性固体 / ペンスリット |
Research Abstract |
本研究の目的は、時間分解型ラマン分光法を用いて爆薬の衝撃起爆に影響を与える物理パラメーター(圧力、温度、結晶構造、結晶性など)を特定し、衝撃起爆機構を分子論的な立場から明らかにすることである。本研究では代表的な爆薬の一種であるペンスリットについて研究を実施する。 研究初年度である本年度は、試料として使用するペンスリット爆薬単結晶の生成条件を探索することから研究を開始した。ペンスリット粉末とアセトン溶媒の混合比をパラメーターとして様々な条件でペンスリット結晶を成長させ、単結晶X線構造解析によって結晶構造や密度、面方位などを評価した。その結果、実験試料として適当な形状、密度、透明度等を有するペンスリット単結晶を室温大気圧下において結晶成長させる条件を見出した。ペンスリット単結晶の衝撃圧縮状態の面方位依存性を検討するために、レーザー加速飛翔体衝突法によって作成したペンスリット単結晶を[110]軸方向に衝撃圧縮し、粒子速度を測定した。その結果、衝撃圧力が10万気圧以下の領域では、インピーダンスマッチング法から導出された真の粒子速度とレーザー速度干渉計によって測定された見かけの粒子速度の関係が一次関数で表現できることが示された。また、圧縮領域の屈折率が密度に比例すること等が示唆されるなど、[110]軸方向衝撃圧縮下におけるペンスリット単結晶の状態方程式や光学特性に関するデータが得られた。ラマン分光実験においては現有するレーザー衝撃分光実験装置の光学系の改良を行い、常温大気圧下においてパルス幅6ナノ秒の単発励起光照射によってペンスリット単結晶のラマンスペクトルを測定することが可能となった。これにより、衝撃圧縮実験においても有効なラマン分光スペクトルを取得できる見通しを得た。
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Research Products
(3 results)