2010 Fiscal Year Annual Research Report
分布急尖性を考慮した量子モンテカルロ法による原子局所力計算の改善に関する研究
Project/Area Number |
22760061
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
前園 涼 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (40354146)
|
Keywords | 分布急尖性 / 量子モンテカルロ法 / 中心極限定理 / 第一原理計算 / 電子状態 |
Research Abstract |
物質科学を対象とした量子モンテカルロ法においては、サンプリングの対象空間に量子力学的反対称性に起因する発散異常節面が多数存在する事により、素朴な中心極限定理が成立しない事が明らかとなってきた。サンプリング値の分布関数は急尖性を持ち正規分布に基づく素朴な誤差解析は正当化されない。サンプリングに人為的な重みを導入した「変数変換」を施す事で、問題の根源である高次モーメント積分の発散を抑え「強い形での中心極限定理(エッジワース展開可の極限分布)」に復元する方策が可能である。このような改良化サンプリング法を第一原理電子状態計算コードに実装し研究を進めている。初年度は、対象を水素分子や一酸化炭素などの小規模分子系に限定してコード実装を進めた。全電子計算について改良化サンプリング法を適用し、同等の最適化計算が著しく高速化される事を検証した。この検証過程において、推定量生成に関わるサンプリング・ステップ数と最適化計算に関わるステップ数との違いを明確化し、これらを区分するコード実装を行った。従前の方法では、前者と後者のステップ数は同数にとるのが慣用であったが、後者のステップ数は大幅に減じても最適化計算の質には影響を与えない事を検証した。これにより、最適化計算は更に高速化される。これらの知見を成果としてまとめ、原著論文として査読付欧文誌に出版した。
|
Research Products
(3 results)