2011 Fiscal Year Annual Research Report
分布急尖性を考慮した量子モンテカルロ法による原子局所力計算の改善に関する研究
Project/Area Number |
22760061
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
前園 涼 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (40354146)
|
Keywords | 分布急尖性 / 量子モンテカルロ法 / 中心極限定理 / 第一原理計算 / 電子状態 |
Research Abstract |
物質科学を対象とした量子モンテカルロ法においては、サンプリングの対象空間に量子力学的反対称性に起因する発散異常節面が多数存在する事により、素朴な中心極限定理が成立しない事が明らかとなってきた。サンプリング値の分布関数は急尖性を持ち正規分布に基づく素朴な誤差解析は正当化されない。サンプリングに人為的な重みを導入した「変数変換」を施す事で、問題の根源である高次モーメント積分の発散を抑え「強い形での中心極限定理(エッジワース展開可の極限分布)」に復元する方策が可能である。このような改良化サンプリング法を第一原理電子状態計算コードに実装し研究を進めている。 当該年度は、前年度に完遂されたガウシアン基底系による改良サンプリング実装を適用して、一軸性分子、具体的には窒素分子や一酸化炭素分子に関する計算を取り扱った。基底エネルギーに関する変分最適化計算につき、改良サンプリングを適用した場合に、最適化計算の数値的安定性や収束速度の向上が見られる様子を実証しつつある。本研究では、評価対象である統計推定量算定のための蓄積ステップ数、及び、変分パラメタ更新を決定するための統計蓄積ステップ数が独立である点に着目した理論に基づいている。当該年度は、この二つのステップ数の比が、対象系毎にどのように振る舞うかについて詳細に調査し興味深い知見を得た。最適化の速度向上には、この比の同定が重要な役割を持つことを明らかにし、現在、同定された比に固定し、順調に最適化計算が進行しつつある。
|
Research Products
(15 results)