2011 Fiscal Year Annual Research Report
錐制約付き半無限計画問題のフィルタ設計およびDSM通信に対する応用
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22760064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 俊介 京都大学, 情報学研究科, 助教 (20444482)
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Keywords | 数理工学 / 最適化 / 半無限計画 / 錐計画 / フィルタ設計 |
Research Abstract |
23年度に得られた成果として特筆すべきものとして,『錐制約』をもつ様々な問題に関するアルゴリズム開発が挙げられる.たとえば,論文Simplex type algorithm for second-order cone programs via semi-infinite programming refomulationにおいては,二次錐というユークリッドノルムで特徴づけられるような錐を制約条件に含むような問題に対して,その二次錐制約を無限個の線形制約として表記し,さらに線形半無限計画問題の単体法的アプローチを用いて解くというアイディアを提案している,この論文は,Pacific Journal of Optimizationという最適化の分野で進展著しい論文誌に投稿し,かなり前向きな査読結果を得られたため,本年度中にも採録されるものと思われる.また,論文Semidefinite complementarity refomulation for robust Nash equilibrium prohlems with Euclidean uncertainty setsでは,ゲーム理論におけるロバストナッシュ均衡(ゲームの情報に不確実性がある場合に,各プレイヤーが最悪の状況を想定して戦略決定した結果起こり得る均衡状態)を求めるような問題を,半無限相補性問題という行列空間の『錐制約』を含む相補性問題に帰着するアプローチを提案した. また,22年度から続けている研究として,『無限個の錐制約』をもつ半無限計画問題に対する陽的交換法と正則化法を組み合わせた手法の開発がある.こちらは,制約条件が無限個の複素関数で特徴づけられるような一般的なフィルタ設計問題に対して定式化能力が優れており,実際多くの既存研究でなされているような無限個の複素関数を有限近似するという手段を用いないので,より高精度の解が速く求められることが期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルゴリズム開発という点においては,おおむね順調に進展していると言ってよい.実際,申請時にくらべ,幾つかの新しいアルゴリズムを開発することができたし,数値実験などによりそれらの性能を確認することもできた.実際,錐制約付き半無限計画問題のみならず,錐制約をもつ均衡問題といったクラスの問題に対してもよい研究成果を得るに至った.
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Strategy for Future Research Activity |
アルゴリズム開発に関しては現在のペースを維持していきたい.たとえば,最近はマルチリーダーフォロワーゲームにも応用が可能な錐均衡制約つき最適化問題のアルゴリズム開発にも取り組んでおり,現在,論文としてまとめている最中である.一方,アルゴリズムの開発および解析が先行している感もあるので,応用の方ももっと力を入れて行きたい.たとえば,フィルタ設計問題は錐制約付き半無限計画問題と大変相性の良い問題であるし,DSM通信におけるスペクトル決定問題に関してもロバスト最適化のアイディアを適用することにより,錐制約や半無限制約を用いた定式化が可能である.そのためには,やはり研究成果を積極的に発表し,様々な分野の人と交流をもち,互いの研究に興味をもち,知見を広めることが重要であろう.
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Research Products
(12 results)