2011 Fiscal Year Annual Research Report
異方性力学環境培養技術を利用した間葉系幹細胞による軟骨組織大規模高次構造の再生
Project/Area Number |
22760073
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森田 康之 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (90380534)
|
Keywords | ひずみ勾配 / 許容限界軸ひずみ / 機械的伸縮刺激 / 細胞配列・配向 / 間葉系幹細胞 / 腱細胞・腱組織 / I型コラーゲン / テネイシン |
Research Abstract |
本年度は,ひずみ勾配を有する伸縮刺激下での間葉系幹細胞の配向挙動・分化特性に関する研究を推進した.基板上に骨髄由来間葉系幹細胞を播種し,垂直ひずみ2~15%に連続的に変化するひずみ勾配を有した周期的伸縮刺激を細胞に付与する.そして,伸展率と細胞配列の関係性,および伸展率と幹細胞分化の系統的定量評価を行った.分化は,腱細胞への分化促進性を対象とし,腱細胞分化因子であるプロコラーゲンI(Col T)およびテネイシン(↑nc)の細胞内発現量を免疫染色法によって調べた.そして,以下の結果を得た.(1)細胞の配列が,時間と伸展率に依存して変化する挙動が三次元ヒストグラムで表示することにより詳細に把握できた.そして,48時間伸縮における結果から,細胞の力学的特性を示す許容限界軸ひずみ量を理論的見地を考慮し算出したところ,その値が5.1%となった.この許容限界軸ひずみによって,細胞配列が支配的に制御されていることを統計的有意差とともに明確に示した.(2)分化特性に関しては,Col Iが伸展率6~11%という広範な伸展率で発現が生じた一方で,Tncは伸展率が8%のみで高い発現を示すという傾向を示した.すなわち,生体組織のほとんどに含まれるCol Iの発現に対する伸展率は選択性が非常に広く,腱細胞のような機能特化された細胞は選択性の非常に狭い伸展率であることがわかった.そして,伸展率8%前後,かつ伸縮時間48時間で幹細胞を伸縮させることにより,効率的に腱細胞への分化が促進されることを詳細な分析により示した.
|