2011 Fiscal Year Annual Research Report
データ解析を導入した電子後方散乱回折法による疲労損傷の定量評価システムの開発
Project/Area Number |
22760080
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
黒田 雅利 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (00432998)
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Keywords | 疲労 / 原子力材料 / 電子後方散乱回折 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
軽水炉の高経年化対策を推進する上で、原子炉材料の疲労損傷を精度良く評価する技術が求められている。電子後方散乱回折(electron backscatter diffraction、以後EBSD)は電子線回折の一種であり、その回折像から試料表面近傍の結晶方位や結晶構造を同定することが可能である。近年、EBSD法を利用した様々な結晶特性評価技術が開発されている。本研究では、EBSD法により得られた測定データに対して各種データ解析を実施することで、疲労損傷を定量的に評価することが可能となるシステムを開発することを目的とする。本年度得られた主な成果を以下にまとめる。 1.オーステナイトステンレス鋼の疲労後試験片に対して、EBSD測定を行うことで得られたEBSDデータを用いて各種データ解析を行った。その結果、各種データ解析により得られたEBSDパラメータを用いることで、高サイクル疲労と低サイクル疲労の遷移領域における疲労損傷を検出できる可能性を示した。また、試験片に負荷される応力振幅の低下に伴い、そのEBSDパラメータの感度が漸近的に低下する傾向があることを示した。 2.オーステナイトステンレス鋼の疲労後試験片に対して、透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、以後TEM)を用いて微細構造解析を行った。その結果、疲労の進行具合に応じて材料内部の転位セル構造が変化することが分かった。そのTEM観察結果と先のEBSDデータ解析結果とを比較・検討した結果、EBSD法による疲労損傷の検出限界向上のためには、EBSD装置の更なる性能向上が必要であることを示した。
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Research Products
(1 results)