2010 Fiscal Year Annual Research Report
インプランタブル無鉛圧電材料の混晶設計と実践的創製支援シミュレーション
Project/Area Number |
22760087
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
上辻 靖智 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (00340604)
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Keywords | 第一原理計算 / 圧電材料 / バイオマテリアル / 複合ペロブスカイト / スパッタ薄膜 / マルチスケール解析 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は下記の3項目に大別される. 1.ペロブスカイト化合物ABX_3の複合化 立方晶においてソフトモードをもち,非対称構造へ相転移可能なペロブスカイト化合物の単晶に対して,AサイトおよびBサイトを他元素で置換した複合化を検討した.置換元素は,幾何学的構造安定性と物理的類似性を考慮して同族で2周期以内に存在する生体適合元素として,有力な混晶を特定した. 2.フォノンモード解析に基づく連続的構造相転移の予測 構造相転移プロセスの予測法を構築するため,立方晶におけるフォノンモードを解析し,負の振動数をもち構造を不安定にするソフトモードを調査した.全エネルギが極小となるソフトモード原子変位を初期値に導入して対称性を規定しない状態で緩和計算を実施し,これに誘起される非対称構造の晶系を特定した.さらに,特定した晶系の対称条件下で緩和計算した非対称構造に対して新たにフォノンモードを解析し,ソフトモードが存在すれば同様の計算を繰り返し,ソフトモードが存在しなくなった段階で計算を終了した.既存材料で本予測法の妥当性を確認した上で,新規材料の単晶に適用し,ソフトモードにより誘起される非対称構造を明らかにした. 3.非対称構造の物性評価 ソフトモードにより誘起された非対称構造に対して,バンド構造と電子状態密度を分析し,絶縁性および強誘電性を検証した.また,基本的な材料特性として,自発ひずみ,自発分極,弾性スティフネス係数,圧電応力定数を評価した.
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