2011 Fiscal Year Annual Research Report
「ピーリング工具」の提案:めっきによる作製と放電/レーザーによる瞬時成形
Project/Area Number |
22760096
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
田邉 里枝 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (70432101)
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Keywords | 特殊加工 / 微細工具 / めっき / 放電 / 瞬時成形 / ピーリング |
Research Abstract |
φ0.1mm以下の放電加工用電極の簡便な作製技術を確立し、その電極の実用性を検証することを目的としている。申請者らは、扱いにくい細線電極(コア材)の外周を融点の低い金属で扱いやすい太さにまで被覆し、使用時にはその被覆層の一部を除去(ピール)してコア材を露出させ、工具電極として用いる「ピーリング工具」を提案している。昨年度までにタングステンをコア材に用いて、亜鉛めっきにより1時間で外径0.3mmのピーリング工具を作製できることを示した。また、めっき中に超音波振動を付与することで表面粗さRa=6μmまで低減できるめっき条件を見出した。しかし、表面状態やコアの偏心量は、より一層の改善が必要であった。そこで、偏心量の低減、表面状態の改善、めっき時間の短縮を目標に、さらにめっき条件を検討した。 めっきの進行につれて工具径が増加するため表面積に反比例して表面電流密度が下がり、めっき速度が減少すると考えられる。そこで、30分毎に電流密度を初期値になるように電流値を調整したところ、めっき時間を短縮できた。また、めっき時間とともにpH値が上昇した。めっき中のpH値変動を抑制したところ、表面粗さとコア材の偏心量が低減した。φ0.05mmのより細いコア材に対しても外径0.5mmまで被覆することに成功した。 被覆層の除去は単発放電によって行った。コアを溶融させずに亜鉛の被覆部のみを除去できる放電条件を見出した。この工具による0.05mm厚のSK材に対する穴あけと溝加工を試み、微細加工が可能であることを示した。工具となるコア材は、加工の進展とともに消耗するため、通常は工具交換の必要がある。本研究で開発したピーリング工具では、消耗した電極に対して、再度単発放電により被覆層のみを除去することができ、工具を加工機から取り外すこと無しに、継続して加工することが可能であった。ピーリング工具の実用性を実証できた。
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