2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性表面を有する切削工具の開発と応用に関する研究
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22760107
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Research Institution | Toyama Industrial Technology Center, |
Principal Investigator |
川堰 宣隆 富山県工業技術センター, 中央研究所, 主任研究員 (30443419)
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Keywords | 切削加工 / 機能性表面 / マイクロ・ナノテクスチャ / フェムト秒レーザ / 摩擦 / 超硬工具 / アルミニウム合金 |
Research Abstract |
固体表面に微細なテクスチャを作製することで,表面の摩擦係数が減少することが知られている.この原理を切削工具に適用することで,工具・被削材間の摩擦係数が低下し,切削抵抗や工具摩耗などを改善することが可能であると考える.本研究は,工具表面にマイクロ・ナノメータオーダの微細なテクスチャを作製し,そこで発現する摩擦係数の低下現象を応用することで,優れた加工性を持った切削工具を開発することを目的としている.テクスチャ作製の高効率化およびそのメカニズムを解明することを目的として,テクスチャの作製領域を変化させた実験を行った.被削材にはアルミニウム合金を使用した.コーティングのない工具の場合,工具切れ刃部でその効果は最も小さい.テクスチャの位置が200μm以上になると,その値は一定となった.コーティングのない工具では,切れ刃周辺で凝着の影響が大きく現れ,テクスチャの効果が現れにくい.また工具・被削材間の接触距離は長く,テクスチャの効果が広く分布したと考える.一方,DLCコーティングした工具の場合,テクスチャが切れ刃付近の場合に切削抵抗が最も小さく,切れ刃から離れるにつれて,その値は増加した.すなわち,テクスチャによる効果は切れ刃付近で最も大きく,本実験条件下では切れ刃から300μmまでの領域でその効果が現れることがわかった.さらに,テクスチャによる効果のメカニズムについて検討するため,加工雰囲気を変化させた実験を行った.その結果,不活性ガス中ではテクスチャによる効果が現れにくく,酸素濃度の増加にともない効果が強くなる傾向にあった.すなわち,アルミニウム合金の切削では酸化による影響が強く表れていることがわかった.
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