2011 Fiscal Year Annual Research Report
機能性表面を有する切削工具の開発と応用に関する研究
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22760107
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Research Institution | Toyama Industrial Technology Center, |
Principal Investigator |
川堰 宣隆 富山県工業技術センター, 中央研究所, 主任研究員 (30443419)
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Keywords | 切削加工 / 機能性表面 / マイクロ・ナノテクスチャ / フェムト秒レーザ / 摩擦 / 超硬工具 / アルミニウム合金 |
Research Abstract |
固体表面に微細なテクスチャを作製することで,表面の摩擦係数が減少することが知られている.この原理を切削工具に適用することで,工具・被削材間の摩擦係数が低下し,切削抵抗や工具摩耗などを改善することが可能であると考える.本研究は,工具表面にマイクロ・ナノメータオーダの微細なテクスチャを作製し,そこで発現する摩擦係数の低下現象を応用することで,優れた加工性を持った切削工具を開発することを目的としている.テクスチャによる化学的な効果について詳細に検討するため,ガスを吹きかけながらの切削加工実験および雰囲気を変化させた状態でのボールオンディスク型摩擦摩耗試験を行った.アルミニウム合金の旋削加工実験を行った結果,空気および酸素を吹きかけた場合にテクスチャによる効果が強く表れた,一方,アルゴン中で,その効果は小さい.また,酸素が存在する雰囲気中で加工することで凝着量が大きくなり,これが被削性を悪化させることがわかった.摩擦摩耗試験を行った結果,雰囲気に酸素が存在する場合に摩擦が小さくなることがわかった.また切削加工実験と同様に,空気中,酸素中で,テクスチャによる摩擦の減少が見られた.以上の結果より,テクスチャによって摩擦が減少する要因の一つとして化学的な作用が存在し,空気中の酸素が強く影響することがわかった.また小径工具への応用を目的として,その小径工具へのテクスチャ作製を試み,有効な作製方法について検討することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はテクスチャを有する切削工具の応用化を目的として,テクスチャによる化学的な効果について詳細に検討した,その結果,その一因を示すことができ,今後の応用化のために有用な知見を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた知見を基に,下記項目について検討する。 (1)各種切削工具,加工分野への応用化 各種工具へ微細テクスチャを適用し,各種加工分野への応用化について検討する.とくに,小径ドリル,小径エンドミルや精密加工用工具など,各種微細加工・精密加工用工具への適用を試みる. (2)摩擦係数が被削性へ及ぼす影響のシミュレーションによる評価 各種加工方法において,摩擦係数の変化が被削性(切削温度,切りくず形状,残留ひずみ等)へ及ぼす影響について,有限要素法によるシミュレーションを行う.
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