Research Abstract |
先進マイクロ・ナノ粒子超音速ジェット加工および環境汚染微粒子浄化において基盤技術となる「微粒子撹拌・搬送」に着目し,静電撹拌および反応性プラズマを活用した革新的粒子搬送技術を創出した。本研究により提案された微粒子搬送管(プラズマチューブ)は,円管内壁上に一対の螺旋電極からなるプラズマ発生機構を有し,管壁近傍に発生するDBDプラズマによる誘起流および放電によって帯電した微粒子に作用する静電気力により,微粒子が撹拌・搬送される。本研究の最終年度である平成23年度では,プラズマチューブを試作し,管内における放電特性や微粒子挙動を実験解析および数値計算により詳細に明らかにした。空気を作動気体とした場合では,±7kV程度の交流電圧を1kHzで印加することにより,管内壁上に放電が形成され,その発光領域および発光強度は電圧および周波数とともに増加することが明らかとなった。また,管出口の中心軸上で計測したオゾン濃度は,印加電圧に対して直線状に増加し,±7.5kVの電圧を印加した場合においては微粒子浄化に有効であるオゾンが19Wの消費電力で230ppm程度生成される。さらに,管出口近傍におけるPIV計測より,管出口においては斜め上向きに,最大で56cm/sの流れが誘起されており,プラズマチューブにおいて誘起された流れは,管出口断面から見て左方向に旋回することが示された。三次元数値計算により,高電圧印加電極近傍に強い電界が形成され,粒子は電極近傍において静電気力により半径方向に振動し,壁面上の粒子は電極間を軸方向に振動する複雑な粒子挙動が明らかとなった。また,小さな粒子は慣性が小さいために応答性が高く,静電気力による粒子の振動振幅が小さいが,大きな粒子は慣性が大きく,帯電量も大きいため,振幅が大きいことが明らかとなり,本装置を実用化する上で重要となる知見が得られた。 本年度により得られた成果は,日本混相流学会年会講演会2011において発表されるとともに,日本混相流学会論文誌,「混相流研究の進展」に掲載された。
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