2010 Fiscal Year Annual Research Report
不溶性2種混合流体の熱力学的特性を利用したキャビテーション抑制法の確立
Project/Area Number |
22760123
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
川島 久宜 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50399531)
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Keywords | 流体工学 / 可視化 / 混相流 / 気泡 |
Research Abstract |
キャビテーションにおける崩壊圧力の抑制方法の確立を目指して低沸点冷媒液体の注入法の有効性を実験的に調べた.まず単一気泡の膨張・収縮運動に対する冷媒の影響を調べた.水中に単一の冷媒液滴を注入した場合,液滴周囲の圧力を急激に減圧させても爆発的な発泡現象は生じない.気泡の運動を定量的に評価するためには冷媒内部に核となる気泡を発生することが必要である.そこで水面の上方から単一冷媒液滴を水面に衝突させた場合,水中を落下する冷媒液滴内部に捕捉される微小な空気を気泡核とした減圧実験を行った.実験では気泡の運動に対する冷媒と水の相変化の影響について飽和蒸気圧力の異なる2種類の冷媒を用いた.また冷媒の飽和蒸気圧力近辺と水の飽和蒸気圧力近辺まで減圧程度を変化させた.このときの半径運動を高速度カメラを用いて計測し,半径の時間変化より蒸発量を見積もった結果,冷媒の蒸発にともなう気液界面の温度降下により水の蒸発は抑制される事がわかった.この効果は冷媒の種類を変化させた場合にも同様の現象が生じ,水中に発泡する気泡の運動に対して冷媒の熱・物質輸送の効果が明確となった. 次に,キャビテーション流れに対する冷媒注入効果を調べるために翼型の縮流部に持つ回流水槽を製作した.翼に発生するキャビテーションに対して,流れ中に冷媒を注入した際の流れの変化について可視化実験を行った.冷媒を注入した場合,翼に発生するキャビテーションは冷媒が早期に発泡し,また崩壊までの時間が長いために,崩壊位置が翼の後方へと移動することが確認できた.また,この効果は強い崩壊圧力を発するクラウドキャビテーションの形成を抑制する効果があることがわかった.
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