Research Abstract |
プラズマジェットは,表面処理や薄膜形成,殺菌,有害物質の分解等,幅広い用途に応用されている.プラズマジェットの制御においては,プラズマジェットの安定化や処理能力の向上を目的として,磁場による制御が広く用いられている.一方で,大気圧下で発生させる大気圧プラズマジェットにおいては作動ガスの流れ特性も重要である.申請者は,磁場による制御とは異なる音波での噴流現象の能動制御手法を,大気圧プラズマジェットの制御へ適用することに着目した.具体的には,プラズマジェットと流れ場との相互関係の評価および音波によるプラズマジェットの制御可能性の検討,さらに音波制御手法のプラズマプロセシングへの適用可能性の解明を目的としている.本年度は,昨年度に引き続きプラズマジェットの制御可能性の検討と,材料表面改質効果の評価を実施した.前者については,プラズマジェットと作動ガスの挙動を同時に可視化計測することで,音波励起時のプラズマジェットと作動ガスの両者に生じる変動現象を評価した.その結果,sinusoidalモードで励起した場合には,プラズマジェットが音波励起方向に揺動し,励起強さが大きくなるほど揺動する振幅が大きくなることが観察された.それと同時に流れ方向への伸縮現象が生じることを明らかにした.また,varicoseモードで励起した場合には,励起周波数に同期して生じる作動ガスの縮流現象により,プラズマジェットが流れ方向にのみ伸縮することがわかった.また,材料表面改質効果について樹脂基板を対象に検討したところ,プラズマジェットを揺動させることで処理範囲が広がることは確認されたが,処理効率の向上は認められなかった.ただし,プラズマジェットの挙動は作動ガスの種類および処理対象となる材料の導電性,ノズル形状等でも変化するため,今後さらなる検討が必要である.
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