2010 Fiscal Year Annual Research Report
異種液体接触に伴う物理化学的非平衡性により誘起される高速現象の複合スケール解析
Project/Area Number |
22760131
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 康隆 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30346192)
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Keywords | 分子動力学法 / 濡れ / 局所的粘性 |
Research Abstract |
液膜に衝突するマイクロメートルレベルの異種成分液滴の挙動を取り上げ,粒子法によるマクロスケール解析に加え,分子動力学によるナノスケール解析を併用したシミュレーションを行った. 今年度は,前者については,密度の異なる液体成分間の接触挙動に適用可能な粒子法ベースの定式化を確立し,これらの再現を可能とした.また拡散界面モデルを粒子法に導入することで,表面張力の異なる異種液滴間の衝突シミュレーションを可能とし,これらの結果が既存の実験結果と良く一致することを確認した. 後者については,異種液体接触に先立ち固液界面に着目し,水,アルコールの単成分,及びそれらを混合した液滴を各々接触させた状態を分子動力学法により再現し,極性または分極を有する壁面上の水の液滴の挙動を解析した.この解析により,固液間相互作用が極小値を持たない関数形であるCoulombポテンシャルに支配される場合,正負いずれの極性によっても水の液滴の濡れ性が向上するのに対し,液滴内部の動的特性として抽出した壁面近傍における分子の回転拡散係数分布が,1ナノメートル程度の領域において正負の極性または分極で逆の傾向を示すという結果が得られた.更にこの回転拡散係数と粘性に関して,バルク系,および壁面を有する系における局所的な値についても良い相関があることを示した.これらの理論が分子動力学法により模擬したせん断系において成り立つことを確認し,本手法によるナノメートルレベルでの粘性分布を抽出できる可能性があることを示した.
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Research Products
(5 results)