2011 Fiscal Year Annual Research Report
気液相変化を伴う界面境界条件の構築およびその流体力学への応用
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22760135
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 一道 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (80453140)
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Keywords | 気体論境界条件 / 蒸発・凝縮 / 気体分子運動論 / 分子気体力学 / 凝縮係数 / 蒸発係数 / Enskog-Vlasov方程式 / 分子動力学 |
Research Abstract |
本研究は,正味の蒸発・凝縮が生じている多様な非平衡状態における気液界面の境界条件を,気体分子運動論に基づいて定式化し,その界面境界条件(気体論境界条件)を流体力学に応用することを目的としなされている研究である。また,非平衡状態における気液界面物理の素過程(蒸発・凝縮等)に対して,分子論的立場から,そのメカニズムを明らかにすることも大きな目的である。本年度の研究によって得られた成果は以下のとおりである。1.Boltzmann方程式を数値的に解く際に使用される確率的解法であるDSMC(Direct Simulation Monte Carlo)法を拡張したParticle Scheme法と呼ばれる数値解析手法を用いることで,気体と液体双方の状態を分子運動論的に取り扱うことができるEnskog-Vlasov方程式を解析することが可能となった。2.上記Enskog-Vlasov方程式を用いて,平衡状態および多様な非平衡状態における気液界面の境界条件を構築した。特に液体が低温の場合,Enskog-Vlasov方程式から得られる気体論境界条件は,分子動力学法により得られた結果(Ishiyama et al., PRL,2005)と同様の傾向となることが明らかとなった。また,Enskog-Vlasov方程式によって得られた気液平衡系は,分子動力学法によって得られた結果と定性的に一致することがわかった。3.流体力学的立場から,気泡と衝撃波の干渉問題に対する数値計算を行い,激しく崩壊する気泡から発生する衝撃波が壁面損傷の原因の一つであることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Enskog-Vlasov方程式を用いることで分子動力学では困難であった数十万から数百万個の分子を容易に取り扱うことが可能となり,サンプルを取得するための計算効率が大幅に向上した。これにより,多様な非平衡状態における気体論境界条件の構築が容易に可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように,Enskog-Vlasov方程式を用いて,多様な非平衡状態・液体温度における気体論境界条件を構築する。また,分子運動論的立場から気液界面の物理を詳細に解析し,蒸発・蒸発現象の素過程を明らかにする。
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Research Products
(3 results)