2011 Fiscal Year Annual Research Report
チャネル内遷移流の統一的理解を目指した乱流縞のメカニズムの解明
Project/Area Number |
22760136
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
塚原 隆裕 東京理科大学, 理工学部, 助教 (60516186)
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Keywords | 乱流 / 遷移 / 再層流化 / 乱流縞 / 並行平板間流 / コリオリ不安定 / DNS / PIV |
Research Abstract |
小型熱交換器などの冷却材流れにおいて,その低レイノルズ数化や再層流化現象は効率的な熱輸送や熱除去を目指す上で妨げとなる事象である.本研究では,層流・乱流間遷移レイノルズ数域にある壁乱流に焦点を当て,遷移現象の解明と流動特性の評価を目的としている.特に,規範的な壁乱流である平行平板間流れを解析対象としており,乱れが縞状の空間的間欠性を示す特異な現象(乱流縞)の解明が主なる課題である.本年度は,局所的にも平衡な乱流を維持し得る下限遷移レイノルズ数を同定するため,大規模計算領域による直接数値シミュレーションおよび可視化実験を実施した.また,回転系流路についても数値シミュレーションを行い,遷移レイノルズ数や流れに発現する準秩序構造について調査を行った.これらにより以下の知見を得た. 1,平衡な局所的乱流状態は摩擦レイノルズ数で50程度まで維持する.これは矩形ダクトによる一般的な実験結果,いわゆるバルクレイノルズ数で1000程度とも良い一致を示す.2,強い回転系内では,コリオリ不安定によるロールセルが卓越し,乱流縞が消失する.このような現象は,平面クエット流では見られない特徴的な現象である. 以上の成果の通り,遷移域の流れ場に内在する秩序構造について,その特性の理解が進められたことは工学分野のみならず流れの不安定性問題に重要な指針を与えるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値解析および実験によって現象の把握は完了してきた.しかしながら,詳細なメカニズムの解明や乱流モデルへの応用には更なる考察が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
現状までに得られた結果を整理して雑誌論文や国際会議にて広く告知し,国外の研究者と議論を重ねる必要がある.そのため,当該研究に関連したテーマに取り組む研究者(フランス・スウェーデン・ドイツ)と共同して,現象解明および工学的応用に展開していきたい.
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