2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植による肝臓内血流バランス崩壊の数値流体力学解析に関する研究
Project/Area Number |
22760138
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
山本 高久 神戸市立工業高等専門学校, 准教授 (10345960)
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Keywords | 血流解析 / 肝移植 / CFD解析 |
Research Abstract |
我が国では肝疾患に対する有効な治療法として生体肝部分肝移植やPTPE(門脈塞栓術)が行われているが,このような治療においては,肝臓内の血流バランス,特に肝臓内の主要血管で肝機能を支える循環系の「門脈」での血流量が術前後で大きく変化する。このような門脈での血流バラスンの崩壊は肝臓病変の発生の要因になると考えられている。現在,これら手術・治療の可否の判断はCT,MRI検査をもとにした医師の経験やスキルに依存しており,術前に定量的な予測分析を行う新たな手法が望まれている。他方,これまでに医用画像を用いた脳動脈内の流動解析の研究は行われているが、門脈血管に対する流動解析を試みた例はない。そこで本研究では,成人男性のCT画像データより肝臓内の門脈の3次元形状データを構築し,流動解析を行うことで,同主要血管内の流動特性の解明を目的とした。また,CFD解析による症例別の流動特性の相違点を比較することとした。 本研究は3カ年で遂行することとし,初年度(本年度)はCT,MRI画像データから当該部位の3次元形状データの作成,健康な成人ならびに肝不全を伴う患者の門脈一次分枝における血流バランスをCFD解析により明らかした。3次元形状データの作成においては,肝臓は血管の塊と言われるほど大小さまざまなスケールの血管の集合体となっており,門脈のみを選択的に抽出することは困難である。そこで本研究ではCT,MRI画像データにおける血管壁抽出の閾値を種々走査し,最適な門脈抽出法の確立を行った。その上でCFD解析を行ったところ,左右門脈への血流バランスはほぼ一次分枝の血管形状に依存していることが2症例解析より明らかになってきた。次年度以降はこの傾向が他の症例にも当てはまるのかを確認するとともに,必要に応じて二次分枝以降の小さな血管網を考慮できるマルチスケールモデルの構築を行う予定である。
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Research Products
(2 results)