Research Abstract |
本研究では,可動部がなく,風切音・振動のない電気流体ガスポンプの開発を目指している.昨年度は,(a)流路形状(アスペクト比),(b)線電極とGND電極間の距離,(c)GND電極の長さに対する影響,および(d)多段型のガスポンプにより気体の流速,流量および効率への影響について実験的に明らかにすることが目的であった.(a)については,アスペクト比が1:2,1:4,1:6の三種類の流路に対し,正極および負極でそれぞれガスポンプの作動実験を行った.実験結果からアスペクト比の増加(線電極方向)に伴い,流速,流量および効率の向上が見込めることが分かった.また,負極については,どのアスペクト比の流路に対してもガスポンプは作動しなかった.(b)について,線電極とGND電極間の距離L=2.5mmで実験を行ったが,正極ではガスポンプは作動するものの,負極では作動しないことが分かった.負極で作動した場合,電気流体ガスポンプの流速および流量が増加することがこれまでの研究で明らかになっている.ただし,現在の電極間距離Lよりも大きな場合での結果であることから,これについては引き続き電極間の距離Lを変更した場合の追加実験を今年度予定している.(c)について,GND電極の長さW=50mmと100mmにおける実験を行い,ガスポンプの性能はWに依存しない結果が得られた.しかし,更なるWの減少に伴い,ガスポンプの性能が変化する可能性は十分に考えられるので,今年度の研究で、時間的に可能であれば,Wの限界値を見つける実験を行いたい.(d)について,二本の線電極を用いた多段型での実験を行い,流速・流量ともに増加することが分かった.結論として,(a)~(d)に関する研究結果より,電気流体ガスポンプの流路設計の自由度の増加,更なる流速および流量増加,およびガスポンプの流路軸方向の小型化の可能性が明らかになった.
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