2010 Fiscal Year Annual Research Report
レーザラマン分光法による火炎内における炭素質PMの成長挙動と構造形態の解析
Project/Area Number |
22760141
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
林田 和宏 北見工業大学, 工学部, 准教授 (80369941)
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Keywords | 環境技術 / ラマン散乱 / すす / 燃焼 |
Research Abstract |
炭素質PM(すす粒子)は炭化水素燃料の不完全燃焼に起因して生成する有害物質である.近年では,ディーゼル車のディーゼル微粒子除去装置の負荷低減や高効率燃焼装置開発の要求から,炭素質PMの生成量低減やその構造形態制御を可能とする燃焼技術の開発が求められている.しかしながら,炭素質PMの火炎内における成長挙動や構造形態と燃焼特性との関連性については不明な点が多い.そこで本研究では,炭素質PMの構造形態および火炎内における成長挙動をレーザラマン分光法を用いて調べ,燃料性状や燃焼条件が炭素質PMの生成に及ぼす影響について調査する. 平成22年度は,測定対象火炎の基礎燃焼特性の把握するため,レーザ誘起蛍光法とレーザ誘起赤熱発光法により炭素質PMの生成特性を評価した.n-パラフィン系の燃料の場合,初期のPAHsは炭素数が10~16程度の比較的小さなもので,これが成長して炭素質PMに遷移する手前では炭素数が16~24程度の大きなPAHsが存在することが分かった.芳香族系の燃料は燃料分子に芳香族環が含まれているため,火炎内において速やかに大きなPAHsへと成長して炭素質PMが形成されることが分かった.また,含酸素燃料の一つであるDMEは火炎内でのPAHsの成長が非常に緩やかであり,多くのPAHsが火炎内において炭素質PMまで成長することなく火炎反応帯において酸化されることを表す結果が得られた.さらに,レーザラマン分光法を用い,火炎下流に排出される炭素質PMの炭素構造の解析と比較を行った結果,n-パラフィン系に比べて芳香族系燃料の火炎から排出される炭素質PMは,グラファイト化度が比較的高いことを示唆する結果が得られた.
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