Research Abstract |
本年度は,昨年度製作した実験装置を用いて,エマルジョン燃料噴霧およびエマルジョン化する前の燃料噴霧を高温の不活性ガスが流れている電気炉内部に噴霧し,噴霧滴のミクロ爆発およびパッフィングを観察するともに,画像解析により噴霧の粒径分布を計測した.その結果,エマルジョン化する前の燃料噴霧は,蒸発により少しつつ粒径が減少した.それに対し,エマルジョン燃料では,粘度が増加するため,噴霧初期では粒径が増加するものの,噴霧の加熱に伴い,ミクロ爆発やパッフィングといった二次微粒化が進行するため,噴霧の粒径が大幅に減少することが明らかになった.噴霧の下流部においては,エマルジョン化する前の燃料よりも,エマルジョン燃料の方が,微細な噴霧となっており,二次微粒化が粒径50-100μmの噴霧においても大きな効果を発揮することが明らかになった.さらに,エマルジョン燃料中の油中水滴径が噴霧特性に及ぼす影響について検討したところ,油中水滴径の増加に伴い,噴霧滴の微粒化特性が向上することが明らかになった.単一液滴実験では,液滴の粒径が1mm程度と非常に大きく,加熱から蒸発が完了するまでの時間スケールがsecオーダーであるため,油中水滴が十分凝集した後,ミクロ爆発が発生することが確認されている.しかし,50-100μm程度の噴霧では,噴霧した後,30ms程度で蒸発が完了するため,油中水滴の凝集は十分に進行しない.油中水滴径と二次微粒化強度に強い相関性があることが明らかになった.
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