2010 Fiscal Year Annual Research Report
高解像度X線CTを用いたCO2地中貯留プロセスの三次元マルチスケール解析
Project/Area Number |
22760144
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
植村 豪 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70515163)
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Keywords | 地中隔離 / 二相流 / 多孔質 |
Research Abstract |
CO_2地中隔離における,帯水層中のCO_2ミクロ・マクロ挙動をマルチスケールに捉えるため,大きさの異なる二種類の多孔質モデル中におけるCO_2浸透過程についてX線CTを用いた可視化解析を行った.高圧条件下で浮力によって液体CO_2が直径5mmの多孔質モデル内を浮上できる装置を構築し,多孔質モデルの構造の違いによる浮上過程の変化を高分解能で可視化,観察することに成功した.多孔質モデルとして充填した硅砂の粒径(0.175-0.512mm),および多孔質中の空隙径に対する浮上速度の関係を解析した結果,CO_2が上昇する際に水も押し出していることから,CO_2浮上速度は水の粘性力に強く影響されていることが明らかとなった.また,断面空隙率の不均一な領域を層状に堆積させた多孔質モデル内では,空隙率が低くて空隙径が小さい層でCO_2が一部の空隙のみ浸透するため,均一多孔質モデルよりも上昇速度が遅く,さらに上流側の層におけるCO_2飽和度が高くなることが分かった.一方,マクロスケールにおける浮上過程として,水飽和させた直径112mmのガラスビーズ充填層中(平均ビーズ径0.43mm)を上昇する空気の挙動を観察した.多孔質モデル中で空気がトラップされた条件を実験から求め,自発的な浮上が生じる場合の多孔質構造,界面張力,浮力に一定の関係があることを示した.さらに浮力で上昇する時の流動現象をX線CTで三次元可視化し,その上昇過程,上昇速度について解析解と比較した結果,鉛直方向だけでなく水平方向の移流が生じており,空気上端部分の進行速度が必ずしも一定にならないことが分かった.以上の結果から,ミクロスケールにおける多孔質構造と浮上速度の関係,およびマクロスケールにおける三次元的な移流過程の観察により,地中隔離におけるCO_2の挙動を推定する上で必要な基礎的知見を得ることができた.
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