2011 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバ型CRDレーザ分光による燃料電池多孔質電極内水分の高感度測定と輸送制御
Project/Area Number |
22760150
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 耕介 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (00397043)
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Keywords | 熱工学 / 燃料電池 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池(PEFC)は,次世代の自動車用動力源等として実用化が期待されているが,高性能化に向けて解決すべき技術的課題は未だ多い.中でも,カソード側での生成水が多孔質状のガス拡散層の内部で凝縮を起こし,反応に必要な酸素の供給を阻害するという「フラッディング現象」は極めて深刻な問題である.この問題を解決するためには,PEFCセル内における水分輸送現象の基本的理解が重要であり,そのための計測評価手法の確立は必要不可欠である.そこで本研究では,光ファイバを用いたキャビティ・リングダウン(CRD)分光法を応用することにより,燃料電池セル内の微量な水蒸気を高感度かつ高時間分解能で定量測定できる独自の「光ファイバ型CRDレーザ分光計測システム」の開発を行った.本計測システムでは,ループ方式のCRD分光法を採用しており,光学キャビティとしてカプラを用いた光ファイバループ(ループ長:200m)を構築し,そのファイバループ内に水分測定用サンプリングプローブ(光路長:25mm)を配置している.また,光源部となる半導体レーザから発振させた水蒸気に吸収のある高速パルス光(波長:1.392μm)をキャビティ内に入射させ,複数回周回した光のリングダウン波形をAPD受光器で検出することによって,ppmオーダーの水蒸気濃度を高感度かつ20μsの時間分解能で定量測定することに成功した.さらに本研究では,上記で開発した計測システムを用いて,発電状態のPEFCセル内で生成される水蒸気ガスのin-lineモニタリングを試みた.その結果,出力電流密度の上昇に伴って,カソード排ガス中の水蒸気濃度も増大していくのが確認でき,CRDレーザ分光計測技術が燃料電池内の水蒸気濃度測定に有効であることが実証された.
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