2011 Fiscal Year Annual Research Report
自発光計測との定量的な比較を目指したOH自発光過程のモデリング
Project/Area Number |
22760162
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
松山 新吾 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 研究員 (60392841)
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Keywords | 航空宇宙工学 / シミュレーション工学 / 燃焼流 / OH自発光 / H_2O自発光 |
Research Abstract |
火炎が放射する光を撮影する自発光計測は、ロケット燃焼試験において広く行われている。しかし、その計測データは空間積分された情報である上に、発光強度と火炎の状態との関係が明確ではないため、定量的な情報を得ることが難しい。本研究では、燃焼シミュレーション中でOHラジカルやH_20による自発光過程をモデリングし、自発光計測と燃焼シミュレーションの定量的な比較を実現することを目指した。 本年度は、モデリングが実施済みであるH_20による可視~赤外領域の発光について計測データとの比較を行った。対象は大気圧条件における水素・酸素同軸噴流火炎とし、計測データでは高速度カメラで撮影した自発光画像から乱流積分長を評価した。燃焼シミュレーションでは燃焼LESにより得られた流れ場からH_20が放射する発光を計算し、自発光画像を模擬した。得られた自発光画像から乱流積分長を評価し、実際の計測データとの比較を行った。比較の結果は、シミュレーションにより得られた積分長は計測データと比べて過小評価するものの、定性的な傾向は良く再現できていることがわかった。シミュレーションによる積分長が過小評価となった原因としては、シミュレーションと計測のレイノルズ数が完全に同条件ではなかったこと、また、計測では散乱光による画像のボケにより誤差があること、が考えられる。 さらに、本年度の研究計画には挙げていなかった成果として、自発光強度の分布と乱流積分長との間に相関があることも示すことができた。これは、燃焼シミュレーション上で自発光過程をモデル化したことで、乱流火炎の構造とH_20が放射する自発光分布との関連性を直接かつ詳細に調査することができるようになって初めて得られた成果である。以上の成果により、実際の自発光計測データを利用して乱流積分長を評価可能であることが明らかとなり、ロケット燃焼試験において広く適用されることが期待できる。
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