2010 Fiscal Year Annual Research Report
超音波放射圧による高濃度生体微粒子群の非接触操作技術の開発
Project/Area Number |
22760169
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
野村 英之 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (90334763)
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Keywords | 非線形音響学 / 波形歪 / 音響放射圧 / 圧縮性粘性流体 / 計算音響学 / シミュレーション |
Research Abstract |
生体微粒子群を超音波放射圧により,非接触かつ安全に制御するための基礎検討を目的とする.本年度は非線形音響現象の解析や工業的応用において重要となる,非線形音波伝搬シミュレーションプログラム,また多数の運動可能な微粒子が分布した流体中の音波伝搬シミュレーションプログラムの開発を行う. 一般に非線形音波伝搬は定常音場を想定したKZKの式を基にすることが多く,本研究で対象とするような,微粒子群が存在する音場解析には不向きである.そこで,そのような状況での非線形音波伝搬解析が可能なシミュレーションプログラムの開発を行った.これは音響FDTD法を拡張した解析モデルである.ただし,音響(流体)的な非線形性や散逸効果を考慮する,流体の支配方程式をベースとするところに特徴がある. 1次元非線形音波伝搬問題のシミュレーションは,解析解とよく一致した.また,提案シミュレーションプログラムをパラメトリック音源の解析へ適用したところ,特徴である鋭い差音ビームの形成を示した.また,多数の散乱微粒子が分布した流体中の線形音波伝搬シミュレーションは,音波の散乱を表した.さらに,放射圧による微粒子運動を考慮したところ,時々刻々と散乱波の特性の変化が示された. これらの結果から,開発したプログラムは運動する微粒子群中の音波伝搬に有効であること,また非線形音波伝搬を記述するのに有効であることがわかった.今後の課題として,効果的な計算方法の検討,また微粒子制御のための効果的な音場生成の検討があげられる.
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Research Products
(8 results)