2011 Fiscal Year Annual Research Report
手持ち振動工具への応用に向けた同期振動発生機構の開発
Project/Area Number |
22760173
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
盆子原 康博 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10294886)
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Keywords | 非線形振動 / 自励振動 / 自己同期現象 / 振動制御 / 建設機械 / 衝突振動 / シューティング法 / 安定判別 |
Research Abstract |
本研究では,手持ち振動工具の一種である振動ランマへの応用に向けた同期振動発生機構の開発を目的とする.本年度は,昨年度までに開発した4個の振動子を搭載した手持ち型実験装置(試作機)を対象として,発生する同期振動の利用可能性や実用化に向けた機構の最適設計法について検討を行った.得られた結果は次の通りである. まず,製作した試作機をスポンジ上に設置した状態で駆動させて発生する同期振動の種類とその特徴について数値計算と実験の両面から調べた.その結果,安定な定常周期解(同期解)の中に把持部の制振と打撃板の励振とを同時に実現可能な同期解が存在することを明らかにするとともに,実験によってその同期振動の発生を確認した.さらに,試作機の自由振動特性に基づいて系パラメータを適切に設定することによって,最適な同期振動の発生領域を拡大できることを実証した.また,起動後直ちに最適な同期振動が発生することや,打撃しながら移動する場合にも同期振動状態が維持されることなどを実験的に確認した. 次に,実用化に向けた検討として,試作機を砂上に設置して締め固め試験を実施した.砂上では,衝突時に散逸されるエネルギー量が大きいことや,把持部が大きく振動する内部共振現象が発生することなどにより同期振動の発生が困難であった.しかし,数値計算結果に基づいてブロックの質量や結合ばねのばね定数等を調整した結果,砂上においても最適な同期振動を発生させることができ,砂を締め固めることに成功した.ただし,把持部の振動加速度が目標とした数値よりもやや大きい結果となった. 以上のように,本研究によって振動ランマに向けた同期振動発生機構の有効性が確認された.最適設計法に関しては,システムの自由振動特性を考慮して設計することが重要であるという知見を得た.本研究で開発した同期振動発生機構を基にして,今後様々な手持ち振動工具への応用が期待される.
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