Research Abstract |
近年,ロボット技術の普及に伴い,多くのロボット様の機械が人間と身近な環境で動作することが求められるようになり,安全性の確保のため,さまざまなセンサが用いられてきている.中でも柔軟性,頑健性と精細な測定性能を合わせ持つ人間の触覚のようなセンサの登場が望まれている.また,近年失われつつある技能,伝統芸能を記録するシステムもいくつか開発されているが,こういったシステムでも,高度な技能を要求するものほど,精細な力情報を分布的な広がりをもって記録する必要がある.しかし,これら精細な力の分布を記録するための最適な触覚センサは現在までのところ開発されていない.加えて,iPhoneなどの例にみられるように,情報入出力機器におけるキーボードやマウス以外の直感的インタフェースへの希求も強まっている.このような背景のもと,申請者は人間の触覚の物理的特性に類似したシリコンゴムを用いた構成により柔軟性と頑健性を保持しながらも,人間の触覚解像度程度に精細な変位情報を,分布的な広がりをもって測定可能なセンサを開発することを目的とした. 具体的な成果として,我々が提案する反射型触覚センサにおいて,人間類似の触覚感度特性を実現する触覚センサを目指し,以下の検討を実施した.まず,透明弾性体の構成を検討し,表皮と真皮に類似した,ヒト類似のセンサデザインが本センサにおいても同様に有効なことを示した.また,変形に伴う幾何光学的解析をシミュレーションおよび実機により実施し,全体最適化により正確な復元が可能なごとを示した.さらに,本センサの応用装置として,センサの高速化として,LEDやPDといった単純な光学素子を利用したセンサをシミュレーションと実装を通じて検証した.また,液晶ディスプレイを用いることにより,動的にパターンを変更するアクティブセンシングにより,高精度かつ頑健なセンサを実現した.
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