2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノコイルの構造特性を活かしたマイクロ/ナノアクチュエータ
Project/Area Number |
22760187
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平原 佳織 大阪大学, 工学研究科, 講師 (40422795)
|
Keywords | カーボンナノコイル |
Research Abstract |
カーボンナノコイルの電磁気学的特性(ソレノイド)と力学的特性(弾性バネ)を活かした、静電駆動式アクチュエータとして機能開拓を目的として、電子顕微鏡その場観察を主体とした基礎実験を行った。今年度はまず電子顕微鏡内でナノマニピュレーションが可能な試料ホルダを用いてナノコイル1本レベルの特性を調べた。電極に直径200~500nm程度のナノコイルを1本架橋して通電しながらその場観察し、電流耐性を調べた。その結果、10~20μA程度の電流量でジュール加熱による構造変化が始まり、ある閾値以上で急に炭素原子が昇華して切断された。また、電子顕微鏡内でナノコイルを電極上に片持ち針状に担持し、電圧を印加したときの変形挙動を計測した。ナノコイルは帯電して静電気力により印加電圧に応じて伸びを示したが、電圧の値を大きくすると電界放出に起因すると考えられる消失が生じた。これらのナノコイル1本レベルの電子顕微鏡実験から、ナノコイルを静電駆動式アクチュエータとして用いるためには、個々のナノコイルの通電による構造変化や、高電圧印加時の電界放出による破損を防ぐ手法を確立することが不可欠であることが分かった。そのため、今年度後半では絶縁体を用いてナノコイルを薄くコートする方法を検討した。その結果、テトラエキシシランを用いたゾル-ゲル法により、複雑な形状のナノコイルの表面にまんべんなくSiO_2が薄くコートできることを確認した。SiO_2がコートされたナノコイルを用いても、コート前と同様な、静電引力による伸びが確かめられた。さらに、電界放出による構造破壊が始まることなく3倍以上の電圧が印加できるようになった。
|