Research Abstract |
1)慣性特性変化に対する歩容適応過程の計測と慣性誘発度メジャーによる評価 ここでは義足歩行スキルが,義足を含む全身の慣性特性の有効利用であることを明らかにするために,義足重量を変化させた後に数回の歩行を計測し,その変化によって慣性誘発度の変化を調査した.具体的には,切断術後,5ヶ月,8ヶ月,15月の計3回,同一の実験参加者に協力頂き,歩容の計測を行った.その際,義足に錘を取り付け,慣性特性が歩行に及ぼす影響を調査した.また義足遊脚期を3フェーズに分割し,フェーズ毎の慣性誘発度メジャーを算出した.加えて,各錘条件毎に歩きやすさ等の主観評価をVisual Analogue Scale (VAS)にて実施した. その結果,遊脚期II期,III期については,義足使用歴が進むにつれて,慣性誘発度が小さくなった.その一方で,遊脚期I期の慣性メジャーは8ヶ月に一度小さくなった後,15ヶ月に再度増加した.歩容と比較した結果,15月目には義足装着側大腿部の挙上角度が大きくなり,それにあわせて義足膝角度が大きくなっていることがわかった.つまり,8ヶ月には義足慣性をうまく活用した運動を行うようになり,15ヶ月にはさらに上達して,よりダイナミックな運動になったと解釈できる. 2)慣性誘発度メジャーの時間分解能向上に関する検討 データの計測方法からフィルタリングを含め,遊脚期を少なくとも3つのフェーズ(ヒールライズまで,遊脚期中期および,ターミナルインパクト後程度)に分割する手法について,検討を行った.慣性誘発度メジャーの提案者である富山大学工学部関本昌紘氏の協力を仰いだ.歩容の特徴から3種類の分割方法を考案し,比較した.
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