Research Abstract |
我々は先行研究にて大腿義足の平地歩行において義足慣性特性が歩容および歩きやすさに大きな影響を及ぼすことを示唆する結果を得ている.そこから,階段昇段時にも義足慣性特性が重要と考えた.そこで本研究では,慣性特性が義足階段昇段における歩きやすさおよび歩容に及ぼす影響を調査した.義足慣性特性を変化させ,階段交互昇段時の歩きやすさの主観評価を実施した.またその際の歩容の変化を計測し,その特徴を解析した. 慣性特性を変化させて階段交互昇段実験を行った.具体的には,義足の慣性特性は0.14kgf,0.3kgfの錘の位置を0%条件,Best条件,100%条件の3条件の位置に装着することにより,以下の7条件に変化した.その結果,主観的昇りやすさには,慣性特性が大きく影響しており,適度な慣性特性が重要であることを示した.また,主観評価の高い場合の歩容を調査することにより,以下の特徴が見出された.つまり,(1)義足側膝関節を良く曲げること,(2)健足側足関節を大きく屈曲させ,維持すること,(3)義足を振り上げる時,前ではなく,上へ持ち上げること,が「昇りやすさと」強い相関が認められた.3つのポイントで共通して言えることは,すべての動作が段差から義足への距離を稼ぐことに繋がっていることである.つまり,どの錘条件でも3つのポイントを意識して行えば,階段交互昇段が行える可能性は高くなると考える.上記の3つのポイントを意識して行うことと,切断者の残された機能に合った錘条件を見つけることで,階段交互昇段をスムーズに行うことができると考えられる.つまり,本成果は義足階段歩行のリハビリにつながる知見であると言える.
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