2011 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の機能発現を支える運動学構造のロボット機構学的視点よる理解
Project/Area Number |
22760195
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
有川 敬輔 神奈川工科大学, 工学部, 准教授 (50350674)
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Keywords | ロボット機構 / 蛋白質 / 運動学 |
Research Abstract |
まず,本研究で導入したタンパク質のロボット化モデル(タンパク質の構造を「主鎖上の2面角運動によってα炭素間距離を制御するロボットマニピュレータ」として捉える粗視的運動学モデル)に対して,ジスルフィド結合をはじめとする強い結合による拘束の効果を取り込めるよう改良を加えた. 次いで,タンパク質の機能発現に直結する内部運動特性と運動学構造の関係を大局的に捉えることを目的に「グループ外力応答解析」と呼ぶ新たな解析手法を開発した.これまでに開発した手法では,リガンド結合部位の特定の原子に外力を作用させた際に生じる変形を評価していた.一方,グループ外力応答解析では,個々の原子に対してではなく,指定した原子グループに対して外力を作用させる際のコンプライアンス特性の評価を行う(外力の方向によってコンプライアンスが異なる).さらに,この解析手法を基本とし,タンパク質から切り出した部分構造のコンプライアンス特性を評価する方法,タンパク質の構造の一部を変質(運動拘束,除去,主鎖2面角の変更等)させた際に起こる内部運動特性の変化を評価する方法等も明らかにした. そして,ラクトフェリン,カルモジュリン,アデニル酸キナーゼ,アスパラギン酸トランスカルバモイラーゼ等,様々なタンパク質の三次元構造データを用いてロボット化モデルを構築して解析を行った.その結果,グループ外力応答解析により計算されたコンプライアンスの低い運動モードが,これらのタンパク質が示す構造変化に概ね適合すること,また,変質させたモデルの解析において内部運動特性に大きく寄与すると判定された部位は,ヒンジ領域等の重要な部位を含んでいることを確認した.
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