2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760198
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植村 充典 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00512443)
|
Keywords | 共振 / 多関節ロボット / 筋駆動系 / 適応制御 |
Research Abstract |
平成23年度には、二関節筋モデルの検討や可変剛性運動補助装具の提案・製作、筋の弾性を利用した運動学習による高エネルギー効率化の研究を行った。 二関節筋モデルの検討においては、二関節筋を用いた方が多様な運動を省エネルギー化し易いことを理論・シミュレーションにより明確化した。この際、二関節筋の場合は剛性行列が非対角成分を持つため、その活用方法を明確にしたことが理論的貢献となった。 可変剛性運動補助装具の研究では、平成22年度に提案した小型・軽量を実現する可変剛性機構を利用した省エネルギー膝関節装具を提案・制作した。本装具は、通常の電気モータではなく、筋のような弾性要素を持つ装具によって人間の運動を省エネルギーで補助できることを動力学解析や生体信号を用いて示した。この成果により、人間も筋の弾性を有効に利用することで運動を行なっていることが示唆されるため、今後は運動解析による生体運動理解への発展が考えられる。 更に、筋のような弾性を有する多関節ロボットにおいて、跳躍運動のエネルギー効率を学習によって向上する方法を提案した。本方法では、これまでに提案してきた多関節構造体の共振概念を用いることで、低計算量かつ強い収束性を持つ学習が可能となった。運動学習の結果、跳躍時に重心周りの運動量が0で垂直に跳躍する省エネルギー跳躍運動が獲得できた。また、その跳躍運動では、筋の弾性を用いない場合に比べて、弾性を用いた場合は94%程度のアクチュエータトルクを削減できることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋構造の特徴である二関節筋や弾性による運動の省エネルギー化を、理論・シミュレーション等により多角的に明確化しつつあり、応用面では装具開発・実験・評価について生体信号計測・評価を行うなど当初の計画以上に進展しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の研究計画通り、生体運動計測・評価と成果の取りまとめを行う。生体の運動計測・評価では、人間が歩行や走行している時の運動データや生体信号を、これまで提案してきた共振の観点から解析する。このとき、人間に慣性や弾性を付加したときの人間の運動や生体信号の変化を解析し、共振との関連性を調べる。このとき、新しく発見しつつある可変剛性装具の運動補助効果を調べることによる人間の運動解析を行うことで、具体的な工学的応用を想定しながら人間の運動理解に貢献可能と考えている。得られた成果は、主に論文の形で国内外に発表する。
|
Research Products
(5 results)